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Fラン大学

 彼が合格したのは、いわゆる「Fラン大学」だった。

 大学には偏差値によってランク付けがされている。SかAが一番高く、B、Cと順に下がっていき、最後がFというわけだ。

 つまり、「Fラン大学」は、誰でも入れるバカ大学。一昔前で言えば、「自分の名前が書けるだけで入れる」と笑われた大学だ。

 彼は少しでもランクの高い大学に入ろうと、それなりに勉強をしたが、受験生はみんな必死なのだ。それなり・・・・の勉強では、やはりそれなり・・・・の大学にしか入れない。

 しかし、彼は自分の努力を棚に上げて、

 

「Fラン大学かあ……」

 

 つぶやいた。

 入学式に参加してもなお、彼は「Fラン」を受け入れることができないでいたのだ。

 と、そのときだった。

 

「あら、Fランだって捨てたものじゃないわよ」

 

 声をかけられた。反射的に振り向き――そこにいた彼女に釘付けになる。

 サークル勧誘の呼び声が溢れる中、彼女もその一員なのだろう。チラシを手に、微笑んでいる。そして、彼の熱い視線の先――その大きな胸をぷるん、と震わせた。

 

「AよりFのほうがいいこともある……そうじゃない? それとも、Aのほうがいいかしら?」

 

 可愛らしく首をかしげる。

 

「いっいえっ、自分はFのほうがっ、全然っ……」

 

 裏返る声を意識しながら、彼は同時に(だから俺もFランなんだよな……)という思いが湧き上がるのを抑えることができなかった。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム