タイムスリップ

 自称、江戸時代からタイムスリップしてきたという男は、道路を走る車を見て、

 

「鉄のイノシシじゃあ!」

 

 と叫び、線路の電車を見て、

 

「人間が鉄のヘビに食われとる!」

 

 と、頭を抱え、空を飛ぶ飛行機を見て、

 

「でっかい鉄の鳥が空を飛んどる!」

 

 と、腰を抜かした。



 その一部始終を見ていたワイドショーのレポーターは、男に駆け寄り、

 

「なぜ、あなたはあれが鉄で作られていると思うんですか?」

 

 と、あくまで真剣な眼差しで聞いた。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム