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投げキッスの投げ方

「一体、お前はどこでそれを習ってきたんだ? え? 我流? 我流だって? ったく勘弁してくれよ、どうなってんだよ、今年の一年は……」

 

 教官はため息をつくと、

 

「いいか、一度しかやらないぞ」

 

 そう言って、完璧な投げキッスを決めた。

 

 ズダァァァン! ――彼のキッスにやられた女子生徒が、目をハートの形に見開き、卒倒する。

 

「おおー」

「さすが教官」

「素晴らしい……」

 

 賞賛のため息が漏れる中、教官はまんざらでもなさそうに、一度だけといった投げキッスをもう一度決めてみせた。

 そして、今度は男子生徒を見事卒倒させてみせると、

 

「このように、投げキッスは君たちの強力な武器になる!」

 

 そう力強く言い切った。

 

 ――ここは東京新宿にある投げキッス専門学校。

 五年前に開校してから今日まで、一学年十人の定員を超える応募が殺到している、大人気の専門学校である――。

 

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