踏んでください

 都会の雑踏に、四つん這いになった男がいた。

 

 その裸の背中には、「踏んで下さい」の文字。

 

 そのあとには「決してMなどではありません」と書いてあったが、誰も信用しなかったのだろう、男は警察に連れ去られるまで、そこでじっと運命の女王様ひとを待ち続けていた。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム