親父の背中

 小学校の図工室で、四年生の生徒たちが、一心不乱に彫刻刀を動かしている。

 つくっているのは、木彫りの版画。

 みんな、思い思いの絵を、版画にしているのだ。

 

 と、そのうちの一人の図案を見て、先生が感心したように声を上げた。

 

「あら、御堂くん。この絵、とっても上手ねえ。これはお魚? 鯉かしら? 鯉の滝登り?」

 

「はい、昇り鯉です!」

 

 すると、御堂くんは元気よく答えた。

 

「お父さんの背中にあるやつです!」

 

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