わたしのプリン

 コンビニの棚に並んだスイーツを見て、俺は首をかしげた。

 

 俺がひいきにしていたスイーツ、「俺のプリン」がない。

 

 その日は売り切れたのかと思い、コンビニを後にしたが、その次も日も、次の日も「俺のプリン」は見つからない。

 

「……『俺のプリン』ってなくなったんですかね?」

 

 仕方がないのでシュークリームを買い、レジの店員に尋ねると、

 

「ああ、あれですか……」

 

 男の店員は顔を引きつらせるようにして笑い、スイーツ棚に向かった。そして、そこから一つの商品を取り、

 

「実は、『俺のプリン』はこちらの商品に名前を変えてリニューアルしたんですよ」

 

「な……『わたしのプリン』?! 見た目も形も全然違うじゃないですか!」

 

「ええ、何でも女性団体からの抗議があったそうで……」

 

        *

 

 俺はその日、「わたしのプリン」を買って家に帰った。

 

 そして、変わらない味を噛み締めながら、「俺」でも「わたし」でも、名前なんてどうだっていいじゃないか、と思うことにより、男の器の大きさを見せつけてやったのだった。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム