坂本龍馬は土佐の人

「ついに来たな、高知県

 

「ああ、ついに来たな、土佐国

 

 南国の太陽が降り注ぐ高知駅に、二人の男が降り立った。

 駅前に堂々と立った、坂本龍馬らの像を見上げる。

 

「こんなものつくっちゃって」

 

「なあ、こんなものつくっちゃって」

 

「知ってるか? 坂本龍馬は土佐が嫌で脱藩したんだ」

 

「ああ、知ってるとも。坂本龍馬は土佐が嫌で脱藩したんだ」

 

「けど、こんな像までつくっちゃって」

 

「なあ、嫌われてるのにつくっちゃって」

 

 二人が肩をふるわせ、笑いを堪えるのを、ほかの観光客たちが不審そうな目で見つめていた。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム