坂本龍馬は土佐の人 その3

「お、おい。あそこ。あれは……」

 

「お、おう。まさか、あれは……」

 

 高知県のとある交差点で、二人の男は互いの顔を見合わせた。

 

「『戦争は嫌ぜよ……』って、坂本龍馬か?」

 

「ああ。『戦争は嫌ぜよ』って、坂本龍馬の台詞っぽく看板に書いてあるな」

 

「どさくさに紛れて憲法九条を守ろうとも書いてあるぞ」

 

「本当だ。ものすごくどさくさに紛れて書いてあるな」

 

坂本龍馬は幕末の志士だぞ? 戦争は嫌ぜよって、すごい弱そうな台詞だが……」

 

「龍馬の意外な側面を見た気になるな……」

 

 唖然とする男たちは、とあることに気づいていなかった。

 

 というもの、坂本龍馬は土佐の人。

 彼がいなくなっても、土佐弁は高知県に生きているのである――。

 

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