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品性のかけら

 あるところに、乱暴な男がいた。

 

 彼は粗野な言葉を話し、動作は荒々しく、食事の時もテーブルに足を上げているような始末だった。

 

 そのため、誰もが彼を「品性のかけらもない男だ」と評したが、八百屋である私はそれは間違いであることを知っていた。

 

 なぜなら、彼はリンゴのことを「おリンゴ」と言う。

 

 たまに聞くその一言だけで、私は彼のことを「品性のかけらくらいはある男だな」と思っているのだ。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム