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日本人メガネ

「おい、おい! ついにうちのやつらCIAが入手したぞ! 日本人メガネ! こいつをかけると、日本が我々のことをどう思っているのか、レンズを通して見えるらしい!」

 

「くそっ。我々KGBの先を越されたか!」

 

「まあまあ、そう言うな。それでは早速かけてみよう……っと、これは何ということだ!」

 

「何だ? どうした?」

 

「ロシア、このレンズを通すと、お前がボルシチに見えるぞ!」

 

「な、何だって?!」

 

「イタリア、お前はスパゲッティだ!」

 

「おやおや」

 

「アイヤー! それなら我々中国は……?」

 

「肉まんだ! いや、湯気が上がっているこれは点心か? ほかにも北京ダックや炒め物が……」

 

俺はフランス? フランスは?」

 

「お前は……何かすっげーきらびやかな皿の数々……? ハッハッハ、誰かと思ったらお前はブルガリアか! 超ヨーグルトだぞ!」

 

「ヨーグルトは国民食なので、間違いではない……ような……?」

 

「ほかにも見えるぞ、キムチに、カレーに、ソーセージに、ケバブ! おい、アメリカはどう見えるか教えてくれよ!」

 

「お前は……ハンバーガーだ! あとホットドッグとピザとフライドチキンと――何だ、日本人のやつらは俺たち世界をこんな風に見てたのか」

 

「食料輸入の自由化が進まないのもこのせいだな」

 

「クジラやイルカをとり続けるのもな」

 

「あいつら、食べものが大好きなんだよ」

 

「ってか、食べものしか見えてないんだな」

 

 各国がうなずき合う中、一人だけ、話の輪に入り込めない国がいた。

 

「僕は? ねえ、みんな、僕は日本人メガネでどう見えるんだい?」

 

 媚びるように聞き続けるのは、もちろんイギリス。

 その料理の評判を、もちろん日本人はよく知っていたのだった。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム