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人間は米を食わない

「昔は悪かったけどいまは更生した的なやつらは、頭にタオル+腕組みでラーメン屋を始める」

 

「わかる」

 

「で、都会は嫌だと、スタイリッシュに田舎へ移住するやつらは、首にスカーフ+草木染めの服でパン屋を始める」

 

「まあ、そうかも」

 

「だからなのさ。俺が、つくっても売れねえ米を、こいつらに食わせ始めたのは……」

 

「ははあ、それで……」

 

 幼いころ、せっかく収穫した米を豚にやりだした父さんを見て気でも違ったのかと思っていたが、背景にはそんな理由があったのか――。

 

 僕は、いまや『お米を食べで育った豚』というブランドで大きくなった父さんの豚舎を見て、内心、複雑な思いに駆られたのだった。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム