不登校の理由

「あの坂道さえなけりゃなあ……」

 

 学校へ続く上り坂を見上げて、不登校の少年がこぼした。

 

「この坂道さえなけりゃ、俺だってちゃんと学校に行くのにさあ」

 

「――その願い、叶えてあげるヨ☆」

 

 すると突然、聞いたことのない声が聞こえ――驚いたことに、目の前から坂道が消えた。

 何か不思議な力が、このあたりの地形を真っ平らにしてしまったらしい。

 

 驚く少年に、声は、

 

「これで君も学校に行けるネ☆」

 

 そう言うと、キュルルルルン、可愛らしい音を残して消えた。

 

「何だったんだ、いまの……」

 

 少年はつぶやいたが、もちろんその足で学校に行くことなどしなかった。

 

「いくら道が平らになったって、学校まで歩くのはだるいからな」

 

 そう言って、学校とは正反対の方向に歩き出す。

 

 宇宙の法則を乱して、地形を変えてくれたプレデアス星人には申し訳ないが、このように人間とは、何かを理由に事欠かない生物なのであった。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム