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馬鹿につける薬

「バカにつける薬はないっていうけど、あれは何でなんだろうな? そんな薬があれば、俺たちだって利口になれるのに」

 

 一人のバカがつぶやいた。

 すると、もう一人のバカが、

 

「そりゃお前、決まってるだろ。バカが利口になったら、利口なやつらが困るからだよ」

 

「そうか。それもそうだな」

 

「そうだろ? あいつら、利口なやつらは俺たちを見下していたいんだから」

 

「自分の地位を守るためか」

 

「そう、自分の地位を守るためだ」

 

 二人のバカはうなずき合った。

 

 ――この話からわかるバカの定義は一つ。

 つまり、彼らは努力で「利口」になる気は、さらさらないのである。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム