幽霊になれない!

「何ですって……?」

 

 窓口で説明を受けた私は、にわかにそれを信じることができずに呆然とした。

 

「私は、幽霊になることができないんですか? つ、妻や娘や……それに可愛い孫にだって『おじいちゃん、幽霊になって遊びに行くからな』って、そう言って来たんですよ? それなのに、どうして――」

 

 おじいちゃんの幽霊なら怖くないよ、そう言って笑った孫の顔が頭にちらつく。

 

「あなたは、私に人生最後の約束を破れと言うんですか! わ、私はちゃんとあの子たちに約束して、それなのに……!」

 

「申し訳ないですが……」

 

 しかし、係員は首をすくめ、

 

「こちらの要項にありますように、幽霊の条件は『現世に何らかの恨みを持つ方』となっておりまして……葉山さんのように家族に囲まれ、大往生をした方は、そのまま天国に行っていただくことになってるんですよ」

 

 そう言って、人生初の絶望を味わう私に、天国への地図を渡したのだった。

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タイトル「幽霊になれない!」は中の人の友人さんからリクエストいただきました。ありがとうございます。引き続きタイトル案を募集中です。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム