気球に乗ってどこまでも

「気球に乗ってどこまで行こう~そこに何かが待っているかランランラララララララララ~ランララララララララァ~」

 

 小学生のころ習った歌を、彼は歌いながら、しかし、その頬には涙が流れていた。

 

 彼の乗った気球が飛ぶのは、地上から約30kmほどの上空。

 調子に乗って飛んでいるうちに燃料がなくなったことに気づかず、かといって、降りるに降りれず、目の前には切り立った山肌が迫っている。

 

 その状態で「待っている何か」とは、「死」に違いないと、心の底から悟っていたからであった。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム