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かもしれません

「まあ、これも天気みたいなもんなんだろうし、天気に100%なんかないって、わかっちゃいるんだけどさ……」

 

『東京はもしかしたら雪になる――かもしれ・・・・ません・・・。名古屋も雪になる――かもしれ・・・・ません・・・

 

 「――かもしれません」と繰り返すお天気お姉さんを見ながら、缶ビール片手に男はつぶやいた。

 

 今日は地球最後の日。

 宇宙から大小の隕石が地球に降り注ぐかもしれ・・・・ない・・のだ。

 

 そうなったら地球は氷河期になるかもしれ・・・・ない・・

 瞬く間に地表は凍結し、動植物は死に、人類は滅ぶかもしれ・・・・ない・・

 

 未来を100%予言することは難しい。

 だからこそ、政府もNASAも、はっきりとこうなる、とは言わず、「かもしれ・・・・ない・・」を繰り返すのだ。

 

「それでも、かもしれ・・・・ない・・って言われると、どうしても助かるような気がしちまうんだよなあ……」

 

 男はのんびりと独り言を言った。

 そして、窓の外を――暴動も起きる気配のない、静かな町を眺めたのだった。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム