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居酒屋でサラダを取り分ける女

〈居酒屋でサラダを取り分ける女子に対して、あなたはどう思いますか?

 

 A.気の利く子だな、と惚れる。

 B.自分で取りたいので苛々する。

 C.気が利くと思われたいんだろうな、と心の中で嘲笑する。

 

 どれを選ぶかで、あなたの心がわかっちゃうかも!

 さあ、あなたはどのタイプ?!〉

 

       *

 

「……って、危ねえ、俺、あの占い、真面目に答えるところだったよ。よかった、お前に聞いて。ありがとな」

 

 くそ真面目に「C」に丸をつけた男が、大慌てでそれを消し、「A」に丸をつけ直した。

 結果的に友人の窮地を救ったことになり、僕はほっと胸をなで下ろしながら、

 

「ったく、あいつらも占いに見せかけてアンケート取るだなんて卑怯だよな。このあとの二次会、『B』と『C』に丸つけたやつは呼ばれないんだぜ? 女の努力を無視するような男は、最初から来てもらう必要がないんだってさ」

 

「うわ、マジかよ? ってかお前、何でこれが罠だって気づいたんだ?」

 

「これ、よく読めよ」

 

 僕はその最初の文を指した。

 

「アラフォー限定のお見合いパーティーで女性のことを『女子』って書くなんて、女の仕業でしかあり得ないだろ? だからおかしいと思ったんだ」

 

「おお、名探偵だな、お前!」

 

 友人が嬉しそうに僕の肩を叩く。

 その肩越しに、着飾ったアラフォー女性たちを見ながら、

 

(けど、そんな『アラフォー女子』でもいいから、出会いが欲しいのは俺たちなんだよなあ)

 

 僕は一抹の切なさを感じずにはおれないのであった。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム