漢字の成り立ち

「例えば、『道』という漢字。

 これは『首』を手に、歩いて行く様子だと言われています」

 

 先生は黒板に大きく「道」と書き、生徒たちに説明した。

 それから今度は「荒」という字を書き、

 

「これは草原に放置された死体に、髪の毛が残っている様を表した漢字と言われています。さらに――」

 

 先生は「民」という字を書いた。

 

「この『民』という漢字。

 これは、両目を潰された奴隷の様子を表した文字だと言われています。戦争に負け、奴隷となってつかえた人々は、逃げられないように両目を潰され、支配者に仕えていたのです」

 

「うわあ……」

「そうなんだ……」

「怖い……」

 

「そうですね」

 

 すると、先生は怯えた様子の生徒たちににっこりと笑い、

 

「これでみなさんも、漢字を生み出した中国という国がどれほど恐ろしい国なのか、よくわかってくれたと思います」

 

 と言って、三時間目の世界史の授業を終えたのだった。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム