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隣の人はインド人

「隣の人がインド人だったんだよ!」

 

 電話を取るなり、友人が息せき切ってそう言った。

 

「今日、初めて会ったんだけど、ホントに、マジのマジでインド人だったんだ!」

 

「……別にいいだろ、インド人だって」

 

 電話で起こされた僕は、少々不機嫌にそう言った。

 

「最近、珍しくもないぞ、外人だってさ」

 

「だからあ、違うんだよ! 俺は、隣がインド人だったことに驚いてるわけ!」

 

 しかし、友人はいっそう声を大きくした。

 

「だって、俺、隣が引っ越してきてから、一度もカレーの匂い嗅いだことがないんだぜ!」

 

「ふうん……」

 

 僕は返事にもならない返事をすると、携帯の電源を切り、二度寝を決め込んだ。

 そして、

 

『インド人イコールカレー。そんな世界の法則が、いま崩れようとしているのです……!』

 

 人がたくさんいる国連っぽい場所で、友人がそんな演説をしているという、馬鹿みたいな夢を見てしまったのだった。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム