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ひいひいひいひいひいばあちゃん

「オレのひいじいちゃんは有名な会社のソウギョウシャなんだぞ」

 

 男の子が自慢した。すると別の子が、

 

「あたしのおじいちゃんはキンユウ会社の社長さんよ」

 

 また別の子が、

 

「僕のお父さんの家は有名なセンゴクブショウの子孫なんだぞ」

 

「あ、うちもカケイ図があるよ!」

 

「みんなユイショ正しい家なんだな」

 

 最初に自慢を始めた子供がそう言って、一人だけ口を開かない、見るからに薄汚い子供に、

 

「お前は?」

 

 意地悪く聞く。

 

 薄汚い子供は考えた挙げ句、口を開いた。

 

「お、オレのひいひいひいひいひいばあちゃんなんか、江戸時代の人なんだぞ!」

 

 すると、子供たちは一瞬黙った。それから、

 

「すごーい」

「へえ、そうなんだ」

「江戸時代かあ」

 

 口々に言い合う。

 

 いくら両親や祖父母の言葉を真似てみても、彼らはまだ小さな子供。

 言葉の意味なんか、まるっきりわかっていなかったのである。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム