親切な設計

 動物園のゾウガメを見て、二人の男が話していた。

 

「あのゾウガメってさ、美味しいんだってね。その上、動きがのろいから、人間に食われて絶滅しかけたんだとか」

 

「うん。あれで美味いなら捕まえて食うよな……ちょうど具合良く、鍋も背負ってることだし」

 

「え? 鍋?」

 

「うん。ほら、甲羅がそのまま鍋になりそうじゃん」

 

「ホントだ……」

 

 二人はしばらく無言でゾウガメを眺め、

 

「親切な設計だな」

 

「うん。いまで言うなら、鍋セットが歩いてるみたいなもんだもんな」

 

 そう言い合いながら、口元のよだれを拭ったのだった。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム