ぼくの……

 生まれてはじめての、あついまいにち。

 ママは「なつだよ」とぼくに言った。

 なつかあ、ぼくは思った。

 「まーくん、プール入ろうか」おじいちゃんが言った。

 「すべり台がついてるプール、買ったんだよ」おばあちゃんがぼくをすっぽんぽんにした。

 「やったープール!」いとこのおねえちゃんが飛び上がった。

 「ようちえんはね、プールあったよ」いとこのおにいちゃんがうれしそうに言った。

 「みずあそびのおむつだよー」ママがおむつをしてくれて、ぼくはきらきらのみずに入った。

 おふろよりつめたくて、きもちいいとぼくは思った。そうすると、からだのちからがぬけて、ぼくはもっときもちよくなった。

 「あたし、もぐれるよ!」いとこのおねえちゃんがみずでぶくぶくしていた。

 「ぼくも!」いとこのおにいちゃんはぶくぶくして、くちからピューとみずを吐いた。

 「まーくん、こっちむいて」おじいちゃんがしゃしんをとった。

 「こどもがはいると、すぐに水がにごるわねえ」おばあちゃんがわらった。

 「ほんとだ。おふろも、こどもがはいるときたなくなるよねえ」ママがわらった。

 「しんちんたいしゃがはげしいからねえ」おじいちゃんがうなずいた。

 ぼくもにごったみずを、ぱしゃぱしゃたたいた。

 でも、きもちよかったおしりが、だんだんきもちわるくなってきたから、たちあがってママをみた。

 「どうしたの? もう出るの?」ママがくびをかしげた。

 「みずがつめたかったかしら」おばあちゃんがプールに手を入れた。

 「もっとあそべ」おじいちゃんがわらった。

 ぼくはしかたなく、みずのなかにすわった。

 あ、おひるごはんに食べたひじきが、ぷかぷかプールに浮いている。

 ニンジンみたいなあかい色もういている。

 みずはどんどんにごっていく。

 

 ぼくいがいのみんなが、大きなひめいをあげたのは、それからしばらくしてからだった。

 

【1分で読める超短編小説集】(山野ねこ) - カクヨム