お天気お姉さん

「えー、今日はお天気お姉さんがお休みのため、佐藤さんにお願いします。佐藤さーん?」

 

「はい、佐藤でございます。それでは早速予報をお伝えしましょう――」

 

 と、テレビ画面に出てきた「佐藤さん」を見て、日本中が驚いた。

 

「こ、これは……お天気お姉さんではない!」

「お天気お姉さんではなく――」

「お天気おばあさんだ!」

 

 他に誰もいなかったのだろうか。

 テレビに映っているのは、「中年女性」よりは「おばあさん」寄りの女性だった。

 まさかの「お天気おばあさん」――その衝撃が収まったころ、

 

「しかし、待てよ?」

「あれがお天気おばあさんなら、森田さんとかは――」

「お天気おじいさん、か?」

「いや、そもそも男性の場合は『お天気お兄さん』と言わないから、森田さんは『お天気おじいさん』ではない?!」

 

 日本中がざわめき、その戸惑いツイッターと通してさらに広まった。

 

 一方、少数のフェミニストたちは「お天気お姉さん」という新たな性差別用語に気づき、テレビ局に抗議の電話をかけ始めた。

 

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